学習会・読書会・自主ゼミ

もくじ

『資本論』学習会

こんなことを学びます

2021年11月から始まったソシラボの『資本論』学習会は、2022年10月から2周目に入りました。1周に10ヶ月余りかかりますが、その分、しっかり理解を深めています。 この機会に、『資本論』をご一緒に学習してみませんか。

資本主義の大筋を知ることを目的とした超入門『資本論』クラスとは異なって、『資本論』学習会では受講生各自が『資本論』をテキストとして読み進めていきます。講義では、講師が内容の要約を解説し、受講生の理解をすすめます。受講生は、質疑を通じて、また受講生どうし意見を交わしながら、自分自身の『資本論』理解を深めてます。

『資本論』とは

マルクス/エンゲルス像(ベルリン マルクス・エンゲルス広場)

1867年、カール・マルクスによって1冊の社会科学の本が出版されました。それが『資本論』です。

『資本論』が明らかにしたのは、私たちが暮らす資本主義社会の中心法則が剰余価値法則であることです。
「剰余価値」とは、労働者が労働をすることで作り出す価値のうち賃金を超える部分を指します。つまり、資本家は労働者に対価を支払うことなくこの価値を自分のものにしているのです。これが資本主義的搾取のしくみです。

この原理は、労働時間が長いほど、賃金が安いほど、労働がきついほど、剰余価値が大きくなり資本家の利益を拡大することを意味します。資本主義企業がブラック企業になりがちなのは、この根本原理が働くからです。

資本による飽くなき剰余価値の追求は、社会の生産力を伸ばし、社会の富を豊かにしていく積極的な側面を持っていますが、同時に、その富の作り手である賃労働者に長時間・過密・低賃金労働を強制し、あるいは失業者の群れに投げ入れるなど、様々なしわ寄せを与えます。一方の側に少数の富める人々、他方の側に、多くの貧困な人々を生み出しながら、資本は蓄積を進めていきます。その結果、社会全体の生産と消費のバランスが崩れて、恐慌が生み出されます。資本の運動そのものが資本の運動の限界を作り出すことになるのです。

『資本論』は以上のような資本主義経済の秘密を解き明かした科学の書です。

もちろん、マルクスが生きた19世紀の資本主義と私たちの21世紀の資本主義では、同じ資本主義であってもその仕組みや運動のあり方に違いがあります。社会自体が発達していますし、それを分析するための科学の発達もあります。現代資本主義を理解するためには、これらの成果を取り込みながら、21世紀にマルクスが発見した資本の法則がどのような姿で現れているかを押さえることが大切です。今日の『資本論』の学び方はそこにあります。

講義では、マルクスの科学的な方法をしっかり視野にいれながら、『資本論』が今の社会の在り方に投げかけている諸論点を深めていきたいと思います。

『資本論』

こんな方におすすめします

・ 超入門『資本論』クラスで『資本論』の概要を知ったけど、資本主義社会の法則をしっかり理解したいと思われた方。
・ 『資本論』に関心があり、今回のチャンスに、『資本論』を読み進めたいと思われた方。
・ 『資本論』の読破に改めて挑戦したいと思う方。

カリキュラム

【コース制】 全24回を予定
【教室】   Zoom会議を利用したリモート講義で行います。
【テキスト】 最新訳の カール・マルクス『資本論』新日本出版社をお勧めしています。
       全13巻のうち、学習会で取り扱うテキストは、資本論第1巻の第1分冊〜第4分冊になります。
【日時】   毎月、第2週と第4週の水曜日   20:30-22:00 90分。

関連クラス

古典読書会

こんな内容を学びます

社会科学の古典の読書会です。近代の社会科学に大きな影響をあたえた思想家たちの古典的名著を読書会形式で読み進めます。

市民社会が始まる少し前、封建時代の末期には、封建社会の弊害を克服しようと、啓蒙思想家や経済学者が、絶対主義的な王政にかわる社会を作る思想準備をしはじめていました。王権が神によってあたえられるといった迷信にかわって社会の成り立ちについて考察し、また経済の発展には絶対王政のような巨大な国家は不要だと考えるなど、非合理な社会に変わって理性的な社会をつくることが彼らの目標でした。

市民革命によって絶対王政は倒されます。民衆はみんなが平等で自由で友愛に満ちた「理性の王国」を手に入れたはずでした。ところが、その期待ははずれます。新たに生まれた社会は、労働苦、貧困、失業、恐慌によって働く人々が困窮する資本主義社会だったのです。

人々は、こんな問題が起きるのは、啓蒙主義思想が不完全だったからだと考え、市民社会に替わる新しい理想社会を求めて社会を改革しようとし始めます。やがて自然科学と産業の発達がもたらした科学的な考え方の影響を受けて、世界や社会や人間のあり方についての考え方(世界観)が大きく変化していきます。そして、資本主義という社会はどう理解しなければならないのか、そして、その理解に基づいてどのように社会は改善できるかが検討され、明らかにされていきます。

これまで読了した文献

F. エンゲルス『空想から科学へ』 

資本主義に替わる新たな社会をつくろうと、啓蒙思想を引き継ぎ生まれた社会思想は、社会主義思想でした。
資本主義が未発達の中で生まれた思想は、資本主義社会を十分に分析できず、理想に合わせて社会を変えようとするユートピア(空想)思想でした。やがて、このような思想や思想に基づく社会運動をふまえ、資本主義社会の法則をリアルに捉え、その法則を利用して社会を変える考えが生まれます。マルクスやエンゲルスによって生まれた新しい社会思想は科学的社会主義と呼ばれます。

空想から科学へ
フリードリヒ. エンゲルス

F. エンゲルス『フォイエルバッハ論』 


マルクスやエンゲルスの思想は、ドイツ古典哲学、イギリスの古典経済学、フランスやイギリスの社会主義思想を基盤としていました。『フォイエルバッハ論』は、その哲学について、科学的社会主義の哲学がドイツ古典哲学からの発展してきたことを明らかにしています。

哲学者フォイエルバッハは、近代ドイツの哲学の代表者であるヘーゲルに対して、唯物論の立場からヘーゲル哲学の否定的側面であった観念論を否定しました。しかし、彼の唯物論は不徹底であり、また、ヘーゲルの積極的側面である弁証法を継承・発展させるものではありませんでした。これに対して、マルクスやエンゲルスは、より徹底した唯物論と弁証法とを結合させた「弁証法的唯物論」を示すことで、フォイエルバッハを批判して、ヘーゲル哲学を真に批判したあらたな哲学を切り開くことになりました。

『フォイエルバッハ論』

これから取り扱う文献

V.レーニン『帝国主義論』

ロシア革命の指導者で文筆家であったレーニンは、20世紀の初頭に世界の資本主義が従来の自由競争に基づく資本主義から新しい資本主義=独占資本主義に変化したことを明らかにしました。

巨大な企業となり生産力を高度に発展させた独占資本は、その経済力で労働者と中小資本家の所得を抑制し、需要と供給の不均衡から生じる恐慌を深刻化させます。独占資本は国家と癒着し、肥大する国家の予算を利用して蓄積をすすめ、とくに経済の影響を受けにくい軍事部面での結びつきを強めます。

独占資本が国内の消費を抑制する結果、市場の狭さを海外への進出で克服しようと独占資本は商品輸出や資本輸出をすすめますが、他の発達した資本主義諸国の独占資本も同様なので、激しい国際競争が生じます。このときに、癒着した国家の軍事力を借りて他国の資本を海外の市場から閉め出すために植民地が作られるようになり、世界は植民地に分割されます。経済の不均等発展は国々の間の力関係を変えてしまうので、新しい力関係による植民地の再分割闘争が生まれ、植民地の争奪のための戦争が生じます。これは世界戦争につながる可能性を持ちます。

レーニンは20世期は帝国主義の時代になったとし、戦争の原因が独占資本主義のあること、戦争を無くすには自国の勝利に協力するのではなく、他国の人びととともに独占資本主義を克服しなければならないことを明らかにします。

このように、戦争を外交や軍事的衝突の経過で見るのではなくて、その社会の利害関係からみることが、ものごとの本質にせまります。今日まで戦争が絶えず繰り返されている理由とその解決の方向を考える上で読書する意義のある文献として、採り上げることにしました。

帝国主義論
ウラジミール・レーニン

こんな方におすすめします

  • 社会科学の古典を通じて、科学的社会主義の創始者たちが発見した世界観(ものの見方・考え方)を学びたい方。
  • 社会の成り立ちと歴史の法則を学びたい方。
  • 近代の社会思想の歩みを知りたい方。
  • 社会科学を学ぶ上で必要な方法論を学びたい方。

カリキュラム

【読書会方式】毎月第1週・第3週の水曜日の20:30〜22:00

【教室】Zoomを使ったリモート教室

【テキスト】V.レーニン『帝国主義論』聴濤弘訳、新日本出版社

【予定】2023年3月1日〜第1回開始



『現代資本主義と資本・賃労働関係』学習会

こんな内容を学びます

資本主義の下で、労働者は、貧困・失業・重労働に対抗する必要に迫られ、団結し運動を発展させます。しかしこれらは、資本家の利益を減少させるものです。資本家たちは、自分たちの利益のために、団結して労働運動に対抗します

当初、労働運動には、暴力を用いた弾圧が利用されます。やがて、資本主義が発達し、労働者人口が増え、労働者の社会的な団結が高まり、労働運動が暴力では抑圧しきれないことが分かると、労働運動指導部を買収・懐柔して労働運動を変質化させる、協調的な労使関係を作り出します。

第二次世界大戦後、労使の力関係は急激に変化します。ドイツや日本では、戦争協力した財界は力を弱め、抑圧されていた労働運動は合法化され急速に力を持つようになりました。資本家の一方的な支配が困難になり、財界は労働運動の中心部分を味方につけて、資本の蓄積に協力する関係作りを目指して新しい関係(「モデル・ドイツ」や「日本的経営」)を作り出しました。この関係を財界は、コストはかかるが良好な労使関係のためには必要な「聖域」としてきました。

しかし、1989年のベルリンの壁の崩壊から始まる新たなグローバル化は、世界の労使の力関係を再び大きく変化させました。国際化する競争の中で、財界の力が強まり、世界の労働運動は弱体化を余儀なくされました。中でも日本は深刻な状況にあります。

講座では、今日の社会で労働組合が働く者の味方になっていない理由、日本の労働者が企業社会に縛られてしまう理由、グローバル化が世界の労働運動の弱体化を生み出した理由を説明し、そのような状況の中にあっても労働者の運動が強まりつつある理由について解説します。

こんな方におすすめします

  • 日本のブラックな企業社会が生み出される理由を知りたい方。
  • 日本の労働組合運動がぱっとしない理由が知りたい方。
  • 労働組合がどうして財界の政策に協調するのか知りたい方。
  • グローバル化の下で、働く人々が深刻な経済状況になっている理由を知りたい方。
  • 日本とドイツとを比較して、日本の労働運動に足りないもの学びたい方。

カリキュラム

【コース制】 毎月 第2土曜日 10:00〜12:00
【教室】 Zoom会議を利用したリモート講義
【テキスト】朝日吉太郎著『現代資本主義と資本・賃労働関係—日独比較を通じて—』文理閣、2022年
【予定】

       第5回講義    3月18日(土) (注:第3週)
       第6回講義    4月  8日(土)
       第7回講義    5月13日(土)
       第8回講義    6月10日(土)
       第9回講義    7月12日(土)

自主ゼミナール

こんな内容を学びます

社会科学研究室ソシラボでは、みんなで考えみんなで語り合う、料金フリーの「自主ゼミナール」を開催しています。
自主ゼミナールは、その名のとおり、参加者が自主的に集まって運営するゼミナールです。


これを、Zoomを使って行います。自宅から参加出来るのでお金も時間もかからりません。
新型コロナ感染の心配もなく、のびのびと語り合えます。

居住地や年齢や職業を超えて様々な人と語り合い、色々な考えや価値観にふれて世界が拡がり、考える力を養えます。

最近のテーマ

  • ウクライナ情勢の背景と解決の道筋について
  • 中国の一帯一路政策について
  • 円安と日銀の低金利政策について
  • 支持率を減らしてまで「安倍国葬」をなぜおこなうのか?
  • 統一教会とそれを利用してきた目的について
  • オリンピック汚職をどう考えるか?
  • 若者の政治意識をどう見るか?
  • 核兵器廃絶条約と日本政府の対応について?
  • 管制ワーキングプア(公務員の非常勤労働者の処遇)問題について?

関連ブログ

今後のテーマ

テーマは、当日参加者が色々なニュースネタを持ち寄って自分が問題と感じたことを報告し、みんなの意見を聞くものです。だから、これといった対象や制約があるわけではなく、意見をまとめるということが目的でもありません。
参加者の自由な意見の交流の場となっています。

こんな方におすすめします

居住地や学校、年齢や職業を超えて、様々な人と交流し、色々な考えや価値観にふれて世界が拡がり、考える力を養えます。

  • そんな体験をしてみたいという方。
  • 勉強を通じて友達を得たいと思う方。
  • そんな体験をしてみたいという方。

無料の講座です。試しに参加してみましょう。

カリキュラム

【自由参加方式】毎週木曜日  21:00〜22:00
【教室】    Zoom会議によるリモート教室
【テキスト】  ニュース記事など話題を集めて、ゼミナールで示したり、事前メールで対応しています。
【予定】    祝祭日はお休みです。

申込・お問い合せについて

自主ゼミの参加申込については、以下のお問い合せフォームをご利用ください。

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